ピアサポート専門員
精神保健福祉領域におけるピアサポートの力が広く知られるようになり、その力を発揮する新たな専門職としての位置づけが、ピアの方々から求められるようになりました。
そこで、ピアサポートの支援技術を高め、専門職として位置付けることを目標として、精神障がい者ピアサポート専門員の養成を目指しています。
そして、精神障がい者ピアサポート専門員(以後「ピアサポート専門員」)の普及には様々な効果が期待できます。
まず第一に支援のチームの一員としてピアサポート専門員が存在することで、医療や福祉等の専門職集団への不信感が強い方や、将来への希望が持てずに支援を受け入れる気持ちになれない方等、これまで支援困難とされてきた方々との信頼関係が比較的早く容易に結べるようになるということが挙げられます。
次にサービスの質の向上が挙げられます。支援チームの一員として、ピアサポート専門員が支援者側にいること自体が「支援者の独り善がり」になることを防ぐからです。精神疾患の経験を専門性にまで高めた支援者は、支援者の独善性に気づき、サービスをより当事者中心にしていく原動力になるからです。
また精神疾患を経験している“当事者がピアサポート専門員として他者を勇気付け、希望を持てるように支援をする”という価値ある仕事をすること、それにより正当な報酬を得て経済的にも自立できる可能性が開けるということは、精神障がい者の自尊心と社会的な地位を向上させます。
更に、その養成自体がもたらす二次的な効果も見逃せません。ピアサポート専門員には、自分自身及びピアの精神疾患とその影響を理解し、その対処方法を学んだ上で、他者と意味あるコミュニケーションをとることが求められます。精神疾患を経験していれば誰でもピアサポート専門員になれるわけではありません。ピアサポート専門員になるという高いモチベーションを持って、体系的にこれらの課題を学ぶことは、たとえ直接的にピアサポート専門員として就労しないとしても、自分自身の人生やリカバリーにとって必ず何らかの役に立つはずです。
2014年9月13日、14日『鹿児島研修資料』より抜粋